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筆の霊
前篇六
類聚雑要抄に、盤の数お七枚と雲るが如く、盤お多く用る時は、台も多く用ふべき事、雑要抄の図の様にてしるべし、台一に盤一お置て、其上に窪一お居ればなり、然るに台大きくて盤は別に無く、直に窪抔お多く居れば、多の台お用ひず、其台やがて盤の用おもかくる意なるによりて、其お懸盤と雲へるなり、其台と盤との二用おかけたる義にて付し名なり、延喜木工寮式には、懸案といへるがありて、そは分書に長五尺八寸、広一尺八寸、高二尺五寸、左右著朸長各八尺といへり、是懸盤の本の名なり、世の常の物食ふつくえにくらぶれば、いと大くて、数箇の用お一にてかけたれば、然はいへるなり、また官名の兼官なるお、雲々の雲々おかけたると雲ふ言づかひ、仮字とも、に見えたり、それと同じくて、台の用おもかけたる盤なれば、かけ盤といふなり、