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調度口伝
一四方之事
普通の三方のごとくにて、すかし四方にあるなり、大臣以上の膳具にして、容易に用べきにあ らず、若大臣ならぬ人用る時は、前の一方おはりて用ゆるなりといふ、しかし公方様には、四方 御用なく三方也、寸法三方に准ず、
一三方の事 常の三方に替る事なし、七五三の時、本膳差渡一尺五寸、ふちこし三寸二分、こし一尺、二三膳七 分落にて組入子也、五々三の時は、差渡一尺三寸五分、ふち二寸八分、こし九寸三分、のし三方一 尺二寸、盃三方一尺又九寸、小三方九寸、これは一名公卿とも雲て、三位以上の用ゆるものにて、 其以下用るなし、婚礼の時、万石以上にて御縁女は三方にて参らせ、御婿〈江〉は板足にて参らす る也、内々にては御婿〈江〉も、三方にて参らする事、近頃の法なり、
一二方(○○)の事
三方のごとくにして、すかしお前後の二方へ明たる也、是は三位ならぬ人に用ゆると雲、其品 伝らず、
一一方(○○)の事
右に同じ、前に計すかし有也、一説に二方は四位の人、一方は五位の人と雲へども、其品伝らざ れば、容実知らず、雲伝へし事也、