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古事記伝
二十一
古閉(へ)に用たる字、瓮(おう)か瓮(ぼん)か定まらず、必一なるべきお、形も義も似たる故に、後にまがひて、何れおも書るなるべし、故今弁へおくなり、瓮は烏貢反、説文に罌也と雲て、甕と同じことなり、瓫は歩奔反、盆と同じ、〈○中略〉大抵瓮は大きにして、腹大きなる物、瓮は小き物と見えたり、されど漢国にても、古く用ひたるさま、二字まぎらはしく聞ゆ、今思に閉(へ)には瓫の字よりは、瓮の方今少しよく当れゝば、古書に用たる皆此字なるべし、