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貞丈雑記
七/酒盃
一又雲、柳一荷など雲は、柳にて作りし樽へ酒お入る故に、柳幾箇と雲と申説宜しからず、文明日々記雲、二月廿七日、御方御所に能有、御垂(たる)五荷〈二荷あま野三荷百済寺〉雲々、御湯殿上の日記に、いなか幾荷と雲事あり、近年諸芸方売買代物に雲、やなぎの代古酒百文別三枚、新酒百文別四枚と雲々、これらの文お以て見れば、あま野、百済寺、いなか、柳などいふは、酒お造り出す所の地名なるべし、