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貞丈雑記
七/酒盃
一さし樽(○○○)の事、尺素往来に、〈京都将軍時代の書也〉例式指榼(さしだる)一個縛捍(ゆいだる)両三とあり、さしだるは箱おさして樽にする也、ゆひだるとは常の桂お入て、〈かつらお入るとは、たがおはめる事、〉ゆひたるお雲也、さし樽はもはや当世はやらぬ物なれば、後にはあとかたもなく成るべし、依之左に絵図お記す、
指樽の図
耳も黒ぬり小口朱ぬり
くろぬり
くろぬり
しんちうの びやうお 打
ろしんちう
せんはきりこ也 緒お付る
〓は木也八角にして上は菊〓也
板の小口也朱ぬり也
両方の小口如此引こみて有
○惣〓黒ぬり耳は朱ぬり也
右のさし樽、大なるも小きもあり、今は世上に沢山にはなし、