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貞丈雑記
七/酒盃
一瓶子一対、口お蝶花形に包む時、座敷の左の方に置は男蝶、右の方に置は女蝶也、一条々聞書に、祝言の時は瓶子の口お、蝶花がたには包まず、ひしに包むと雲、猶尋ぬべしとあり、是は銚子提子と瓶子一対と、蝶形につゝめば、蝶の数四つになる也、四の字お忌む故也、
一瓶子の口、外に包様も有べきに、ひし形に包むは、いかなるいはれぞといふに、菱は水草にて水底にはびこりしげり、ひしのみもかたくつよき物也、はびこりしげりかたくつよきお祝に用る也、酒も水類の物なる故、菱の花形にて口お包む也、