[p.0225][p.0226]
貞丈雑記
七/酒盃
一古は祝儀にも常にも、盃といふは皆かわらけ也、さかづきといふ事は近代の事也、今も盃お朱ぬりにして、うすくひらくするは、かわらけおまなびたる物也、京の銀閣寺に、七賢の盃とて七つ入子の盃に、晋の七賢の名お蒔絵にしだる盃あり、是は東山殿の御盃也と申伝る也、いぶかしき物なり、東山殿時代ぬり盃はなし、後に作りたるなるべし、