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塩尻
初編九
或人問、古へ我国の盃其形如何にやと、曰上古盃は土器のみ、漆ぬりは中世已来か、相州鎌倉教恩寺〈時宗なり〉に、昔平重衡千寿前と、酒宴せし盃とて寺宝にあり、大さ今の平皿のごとくにして浅く薄し、内外黒ぬりにして、内梅花まき絵あり、是中古酒盃なり、古田織部正守能茶亭の饗に備る時、製し初し盃の形なり、近世は弥軽薄の器となれり、