[p.0231]
橘庵漫筆
二編一
織部盃 盃に織部形といへるもの有て、小盃なり、よつて辺鄙の野人など、盃お織部と心得し人もありとかや、元豊臣家のときに、日根野織部正高吉と雲し人の、好み申されし形となん、依て織部形といへり、此織部と雲は、古織〈○古田織部正〉ならず別人なり、日根野氏は武備調ひし人にて、武器の物数寄名人なりとかや、されば武器に名のこれり、