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醒睡笑

不文字
古田織部の数寄に出さるゝほどの物おば、其道おまなぶもまなばぬも、天然と賞玩し、もてあつかひしゆえ、中酒に座敷へ用ひられつる盃までも、なべて人織部盃といひふるゝ、さるまゝ京に三八といふ者あり、扠は盃おばいづれもおりべといふ物ぞと、合点しいたり、あるとき三八が顔あかく、機嫌よささうなるお、人見つけて、そちはあらけなくえひたる体ぞといへば、道理かな今朝のふるまひに、汁の椀のおりべで、つゞけざま三盃のみたるもの、