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明徳記

抑当宮の祭礼は、四季の奉幣の使とて、都より勅使下向して神事お勤め、其外月次日次の神事とて退転無物也、其に二見の浦の所司等、皆和布お取て神前に備、又三角のかしはの盃とて、二見の東なるさヽら島と雲所にて、柏の葉お取事あり、譬へば此島けんそにして陸地より通路無間、高塩の絶たる時、此島の陰に船お浮めて、此柏の葉お浪の上へ苅落す、神杯に成べきは必浮ぶ、其器に当らざるは悉く沈てみくづとなる、其故お以神杯お占なふ也、是お柏の神と号す、