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槐記続編
享保十六年三月十六日、頭中将殿の御はなしに、このごろ関白〈○藤原家久〉へ御料理お上しに、盃の台お物ずきにて、桃の枝に実のなりたる処お台にして献ぜしお、御褒美にて、後段々開白公よりの御馳走の御料理の節、又右の台お出されし程に、いかなる故にやと思ひしが、難波より杯お取始められしかば、盃の下に紙に包みたるものヽありし程に、たしかに御詠なるべしと思て居しかども、誰取上べきやうもなく、皆々譲り合て辞せしかども、難波が盃おとられしゆへに、取上て拝見せられしかば、御詠にはあらで桃花盛と雲題おしるされたり、〈○下略〉