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空穂物語
あて宮
二月中の十日、年のはじめのかうしん出末るに、春宮の君たち御つぼねごとに、あて宮さらぬさきより、殿上たちはきのぢんに、くだものいださむとおほす、よきおりなりとて、殿に聞え奉れ給、宮の御だいにはかねのごきに、こがねのけうち、〈○中略〉ひわりご(○○○○)五十たゞのわりご(○○○○○○)五十、かひわりご(○○○○○)は御かた〴〵にし給、〈○中略〉こ宮の御かたにとのにまうけられたりし、はこ、ひわりごそへて奉れ給、殿上よりはじめて、宮のうち所々のたちはきのぢんまで、わりご五てなどきよらにしてたまふ、