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貞丈雑記
七/膳部
一折と雲は木お折わげて、箱にするゆへ折と雲、足お折に直に打付る事はなし、折に合せて台おして、台に足お付る也、ふたも釘にて打付る事なし、台よりふたの上へ水引お、かけて結ぶ也、蜷川記雲、御折は三献め五献めより参候而可然候、作去献数少き時は、二献めよりも参候、きそくの物には箸はすはらず候、〈折の内にもりたる物、きそくさしたる物ならば、箸おすへざる也、きそくの物はきそくお以て人に遣故也、〉又様体によりすはり候事も候、しばりおばかげにてとき候て持出候也雲々、しばりとは水引にて折お結たるお雲也、今時折と雲は、折に直に足お打付、ふたおも釘にてしめ、削り花おふたの上にさす也、是は古は折といはず櫃物と雲也、〈折に金らん段子くつわなと入る事、進物の部に記す、〉今時折一合といふお、折二つの事と心得たる人あり、あやまり也、折にかぎらず、唐櫃なども一合と雲は一つの事也、すべて箱類おば一合二合と雲也、