[p.0297][p.0298]
東雅
十一/器用
釜かなへ 倭名抄に釜はかなへ、一にまろがなへといふと注したり、かなへの義は、鼎の釈に見えたり、まろがなへとは、其腹下の円かなるおいふなり、釜おかまといひ、竈おかまどといふが如きは、後の俗より出でたり、〈古には竈おかまと雲ひしお、後俗に釜およびてかまとなし、遂に鼈おばかまどといふに至れり、かまどとは竃殿の語訛りしなり、されど今も塩お焼きぬる竃、又瓦お焼きぬる竈の如きは、かまといふが如きは猶古語の遺れる也、釜おかまといふが如きは、韓地の方言にや出でぬらむ、即今も朝鮮の俗、釜お呼びて〉〈かまといふなり、〉