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花街漫錄

湯茶二つ口之釜(○○○○○○○)〈唐銅〉
この家〈○遊女屋山城屋九兵備〉にめづらかなる釜あり、うちにしきりありて、口は二つあり、日毎に内証〈遊女やにては、主人の居るべき処おさして内証と唱ふれども、おりにふれては主人おもさしていふ也、〉のゆるりにかけ置て、湯茶と両様かねたるものなり、その頃はこの里にては、大かた用ひたるものと見えて、余〈○花明園西村氏〉が家にもひとつ所持したり、