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窻の須佐美

今川の郷人ども、年貢料お金納するとて、七人つれあひて、金七十両お庄屋の方へ持来りしが、やゝありて一人刀お抜て庄屋お切殺しぬ、妻子これお見ておこりたちたる炭火お火かきに盛り来りて、切たる男のかしらより打かけければ、一向に動く事も得せず、その外のものも驚きて、彼これと此男お介抱せんとすれども、火もへたちてあきれはてたる所に、代官役人且村人より来て、こと〴〵くとらへ、奉行所へ達して召捕けり、