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四条流庖丁書
一庖丁刀の事、長目釘穴より九寸、まちより目釘穴の間は一寸、然ば身は八寸と可心得也、剣形の刀也、峯のすり様は、丸峯にすりて、さき四寸に角あるべし、口伝、柄は赤木、亦は朴お可用、努々檜お不可用、根本は鏑藤お巻儀あり、今の庖丁おはとり皮にて巻なり、然ばあい皮成べし、其上お紙にて包事有べし、如此柄は鯉口也、少ほり入て柄の木は両方ほるべし、此義少も違ならば、当流にては不可在之と雲々、庖丁刀の崎お折事、剣形お学可成、口伝在之、
如此鏑藤お巻といへども、口伝に在替所有べし、絵図に用捨有之、刀のさき四寸に角おする事、泉の鯉に付ても口伝有之、可秘々々、一庖丁の柄お可巻事、あい革にて左巻可成、巻数は十余りにし、切面より巻始て手の内にて止べし、上下六の間へ巻留る、皮先お引可出、口伝に有之、又皮の上お紙にて巻事在、是切物に随ての事成べし、可包紙は杉原成べし、其用過ば包たる紙おほどきとる也、当世は此事なし、可秘之、