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近世奇人伝

高橋図南
一笑話有、上京の鍛冶に狐つきて、今は此業おせじ、出身するなどいひて狂けるに、老人たいめして、狐にてあらば庖丁おうちてあたへよ、是はおほやけの御物お調ずる料也、是計はうつべしといはれしかば、雌雄二刀おうちしに、雌のかたよくきるれば、小狐と名づくとなん、