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千紅万紫
初集
すり小木のことば
もろこし杭州の人は、日ごとに三十丈の、櫑槌おくふといへり、いはんや万国の都にすぐれたる、大江戸の百万戸、二百六十余の公侯、八万騎の士大夫、二千余町の市町、寺社、唱優の数おしらず、一日に何万丈の、すり小木おくはんとおもふも、例の江戸自慢にして、豆腐お秤にかけてくふ祇園守の紋つけたる上方者などは、駄味噌お上るとわらふなるべし、
すり小木もれん木も同じ山椒みそ伊勢すり鉢に備前摺鉢