[p.0353]
槐記
享保十一年六月廿四日、参候、千金方の客忤門に、銅鏡鼻(○○○)と雲ものあり、何物たるお知らず、本草類お考へても不分明、もし鏡の柄などのことにやと窺ふ、〈○中略〉翌日則右の出処のこらず、御考の趣お御見せなさる、
一鏡如鐘様、鼻上有大環、〈琅耶代酔巻廿三鏡〉 台即所以架鏡者、帯穿鼻以共持挈併及之、〈合璧事類巻五十三鏡部〉 右之趣なれば、究めて柄なき唐の鏡など雲、丸鏡の裏にあるつまみ(○○○)のこと也、これ見よとて、御家にある唐の鏡お御見せなさる、類もなき、古鏡の最見事なるものにて、裏につまみなどあり、帯お穿てこれあり、四方に富貴当寂の四字あり、