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義経記

平泉寺御見物の事
此僧は讃岐の阿闍梨と申候が、北陸道にかゝり、越後に下り候、御内の勧進はいかやうに候べきと申ければ、富樫よくこそ御出候へとて、加賀の上品五十匹、女房のかたより、罪障懺悔のためにとて、白袴一こし、八はながたにいたる鏡、さては家の子、郎等、女房たち、下女に至るまで、思ひ〳〵に勧進に入る、