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栄花物語
三十二/歌合
蔵人俊経ふたあいのうつくしきとりて、ひろげしくおみれば、むらさきのふせんれうに、あおきざうがんおつけて、伊勢海と雲さいばらお、あし手にぬひたり、かゞみの水(○○○○○)かねのすなごしたるすはまお、すへみち、さだあきらとりて、うちしきのうへにふす、〈○中略〉かずさしの物は、うちのおまへとおぼしくて、たけのだいよりぬきいでたるおかずにはしたり、かゞみの水、沈の石たてゝ、さま〴〵のくさおしたくさにて、色々のさいでしてつくりたるも、ことさらとみなせばおかし、〈○中略〉左がたかちわざと覚しくて、沈したんのかひずり、かゞみのみづやりなどしたるわりご共参らせたり、