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栄花物語
三十六/根合
菊のおり物の御几帳ども、おしいでわたして、おはしますほどこそいださね、すこしさしのきて、よきほどにおしいでたる、きぬのすそ、袖口いとめもおどろきてみゆ、菊の折枝、桂のもみぢ、鏡の水などおしたるが、うすものよりすきたるうちめに、かゞやきあひたるほかげいみじうおかし、くれないのうちたるおながへにて、桂のかたにえりて、青きお下にかさねて、かう染の御ありさま、えもいはず、めでたく見えさせ給、