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歷世女装考

むかしの鏡磨
のちみよ草〈写本全五巻、正徳二年壬辰の霜月筆お石花菴の窻下に拭ふと序文にあり、〉 〈巻二〉母のはなしに、我がおさなかりし完永の頃は、かゞみはざくろの汁にてとぎしに、そのゝちは梅の酢にて年中みがく、これも世のかしこくなりし一つなりといはれしとあり、つら〳〵おもふに、昌平の国沢につれて、女も仮粧おたしなみ、鏡も世に多くなりしゆえ、鏡磨も心つきて、ざくろお梅酢になしたるなるべし、