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源氏物語
十二/須磨
御鬢かきたまふとて、鏡台によりたまへるに、おもやせたまへる影の、われながらいとあてにきよらなれば、こよなうこそおとろへにけれ、此影のやうにややせて侍る、哀なるわざかなとのたまへば、女君涙おひとめうけてみおこせたまへる、いと忍がたし、〈○下略〉