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八雲御抄
四/断簡言
やまどりのおろのはつおにかゞみかけとなふべみこそなによそりけむ、〈○中略〉昔となりの国より山どりおたてまつりて、なくこえたえにして、きく物うれへおわするといへり、みかどこれおえてかひ給に、さらに鳴事なし、あまたの女御に、この山鳥おなかせたらん人お、后にたてんとおほせられければ、やう〳〵になかせむとし給ける中に、一人の女御、ともおはなれてなかぬなめりと思えて、あきらかなる鏡おこのうちにたてたりければ、よろこべるけしきにて鳴事おえたり、尾おひろげてかゞみのおもてにあてゝなきけり、それによりて此女御后に為給にけり、