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源氏物語
三十四/若菜
中宮よりも、御さうぞく、くしのはこ、心ことにてうぜさせ給て、〈○中略〉姫宮の御方にまいらすべくの給はせつれど、かゝることぞ中にありける、
さしながら昔お今につたふれば玉のおぐしぞ神さびにける、院御らんじつけて、あはれにおぼし出らるゝことどもありけり、あえ物けしうはあらじと、ゆづりきこえ給へるほど、げにおもたゞしきかんざしなれば、御かへりもむかしの哀おばさし置て、
さしつぎにみる物にもがよろづ世おつげのおぐしのかみさぶるまで
○按ずるに、此文亦櫛お称してかんざしと雲へるなり、