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古事記伝

於湯津爪櫛取成其童女は、其童女袁湯津爪櫛爾取成(そのおとめおゆつつまぐしにとりなし)と訓べし、湯津は、上湯津石村の下〈伝五の七十一葉〉に雲るが如し、〈○註略〉爪(つま)は〈借字〉加都麻(かつま)の上お略けるなり、加都麻(かつま)は堅津間(かたつま)にて、〈多都お切(つヾ)むれば都(つ)なり、〉櫛の歯のしげくて間(ま)の堅くせまれるお雲り、〈(中略)古の櫛は、爪の形したりとも、妻櫛の意なりともいふは誤なり、〉櫛は本串(くし)と同し名なり、黄泉(よみ)の段に火お燭(とも)し賜ふお思へば、上代の櫛の歯は、やゝ長かりしかば、串と同〈し〉類〈ひ〉ぞかし、