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嬉遊笑覧
一下/容儀
世の人心〈○書名〉に、べつかうの総すかしのさし櫛(○○○○○○○)と見えたり、〈天和貞享のころなり〉透しの櫛は、其後元文頃より、近く天明迄も行はれたり、彫工東雨安親は、奈良辰政が弟子にて出藍の誉あり、安親が女子に彫て与へたる透しの櫛あり、仮鍮(しんちう)にて形角なり、みねの所狭く、歯長し、おもてに水仙の折花おすかしに造りたり、安親は完文中の生れにて、延享元年身まかれり、此櫛は宝永正徳頃にも造れる歟、