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空穂物語
楼の上之下
殿は人の御しだいにの給へと、さべき事なれど、人は心こそはづかしけれとて給つ、かれらのすきばこ、ひとつにはからあや五匹、いまひとつには(○)、ぢむしたんのく(○○○○○○○)しあるお、たいの御方に奉らせ給とて、かんの殿、
思ひやる心おつげのくしならばおぼつかなくはなげかざらまし、とて奉り給へれば、御返、
そのかみにふりにし物おあらたむるこれこそつげのおぐしとはみれ、おばのと思給へらるるときこえ給へり、