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賤のおだ巻
一衣類の色も、其比〈○宝暦〉は、丁子茶と雲色流行出て、男女貴賤お論ぜず、賤者のひとつ布子さへ、丁子茶に染て著たり、〈○中略〉櫛は朱ぬりの、山形の平たく横へ長きおさしたり、〈○中略〉其頃の歌に、丁子茶と五寸もやうに日傘、朱ぬりの櫛に花のかんざし、とて貴賤吟みたり、