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保元物語

為朝生捕被処流罪事
九月〈○保元元年〉二日湯屋に下たる時、三十余騎にて押寄てけり、為朝真裸かにて、合木お以て数多の者おば打伏たれ共、大勢に取籠られて無雲甲斐被搦にけり、季実判官請取て、二条お西へ渡す、白き水干袴に、赤き帷子お著せ、髻に白櫛(○○)おぞ指たりける、北陣にて叡覧あり、公卿殿上人は不及申見物の者市おなしけり、