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大鏡
一/三康
つぎのみかど、三条院のみかどと申き、〈○中略〉院にならせ給ひて御目お御らんぜざりしこそいといみじかりし、ことに人の見たてまつるには、いさゝかかはらせ給ふ事おはしまさゞりければ、そらごとのやうにぞおはしましける、御まなこなども、いときよらにおはしますばかり、いかなるおりにか、時々は御らんずる時もありけり、みすのあみおの見ゆるなどもおほせられて、一品宮ののぼらせ給へりけるに、弁のめのとの御ともに候が、さしぐしお左にさゝれたり(○○○○○○○○○○○○)ければ、あごよ、などくしはあしくさしたるぞとこそおほせられけれ、