[p.0406]
落窪物語

明後日くだり給ふとて、左の大い殿にたいめんしたてまつらでは、いかでかはとて参りたまふ、〈○中略〉たれも〳〵御供にくだる人々に、北のかた、いとよくしたる扇二十、螺すりたる櫛、まき絵の箱に白粉入て、こゝの人のかたらひけるして、かたみに見たまへとてとらす、