[p.0438]
宇治拾遺物語
十三
今はむかし、唐になにとかやいふ司になりて下らんとする物侍き、名おばけいそくといふ、それがむすめ一人ありけり、ならびなくおかしげなりし、十余歳にしてうせにけり、父母なきかなしむことかぎりなし、〈○中略〉その母が夢に見るやう、うせにしむすめ青き衣おきて、白きさいでして、かしらおつゝみて、髪に玉のかんざし一ようひおしてきたり、