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歷世女装考

花かんざし
花の枝お髪に挿は、往昔男女の風なり、〈○中略〉挿頭花と書て、かざしとよむは義訓なり、本字は翳なり、〈○中略〉大内の花の宴には、公卿の人々、花おかざし玉ふ事諸書にみゆ、のちには剪綵花(つくりはな)おも用ふる事もみへたり、西土にも生花又は剪綵花おも男女髪に挿事、該余叢考〈巻卅一〉簪花の条に諸書お引て、あまたの故事お記せり、〈○註略〉又天竺国にても、仏在世の時、〈○註略〉生花もつくり花も、かんざしする事、慧林音義〈第十八〉翻訳名義集〈第七〉などに、花かんざしお、天竺ことばに、麼羅とは華鬘なりといひ、又釈迦如来叔母に示されたる大愛道比丘経にもみへたれば、花かんざしおさすは、三国古今の風也、