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守貞漫稿
十二/女扮
今世婦は、正には必らず笄お用ひ、晴略䙝には、中差簪お以て代之也、略䙝にも笄不用に非れども、用之は希也、晴には笄お専とし、中差は希、又中差も鼈甲は晴お専とし、木製に金蒔絵の物は、略䙝に専用とす、
中差簪〈○図略〉
同白魚形〈○図略〉同徳利形〈○図略〉竹之節〈○図略〉是等形笄なれども、江戸今俗は専ら中差と雲也、
此形〈○図略〉にて、丸もあり、両端象牙にて中紫檀也、今嘉永中大に流布し、婦人䙝に用之、嘉永末象牙廃して、中は紫たん、或はいす、両端無地鈖と雲て、無地に金ふんお蒔く、無地金或は金だみとも雲、安政元年比より両端象牙、或は金無地なれども、中お細くして、髻にさす時、太き分一方ぬき、央の細き所お髻に挿し、而后に一方おさす、号て杵形と雲、
此二品〈○図略〉金無地の上に、再び金ふんお以て蒔絵したるもあり、又杵形両端丸形お図せども、角形もあり、丸角並行る、
杵形中差〈○図略〉右図に似たる形にて、牙の小口お梅桜等の花形お彫み、匂には小珊瑚お用ひたるあり、牙の全体も花形に応じ鐫之、