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古事記伝

すべて加豆良(かづら)に三つの品あり、葛〈蔓も同じ〉と鬘と髲となり、〈○中略〉鬘は頭の飾に懸る物なり、〈○註略〉髪は和名抄に和名加都良(かづら)、釈名雲、髪少者、所以被助其髪也と有て、俗に加毛自(かもじ)と雲物なり、かくさま〴〵あれども、本は一つより転れる名にて、草の葛より出たり、〈○中略〉さて何にまれ蔓草お以て頭の飾にかくるお髪葛(かづら)と雲、是即鬘なり、〈○中略〉又髲も髪お飾具なれば、鬘とおなじ名お負せつらむ、さて鬘は、上代には、女男ともに懸る物にて、蔓草お用ひしことは、石屋戸の段に真柝(まさき)おかけしお始て、日影鬘(ひかげのかづら)など、〈○中略〉又糸などお以ても作りしにや、珠おかざること、天照大御神の御飾〈宇気比の所〉に見えたり、玉鬘(たまかづら)と雲は是なり、〈髲にも、葛にも、玉かづらと雲は、此の玉鬘の名おうつして呼か、又たゞほめていふにもあるべし、〉