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三十二番職人歌合
五番 右 鬘捻花かづらおち髪ならばひろひおきひねりつぎてもうらまし物お
二十一番 右〈勝〉 鬘ひねり
うつくしくかゝれとてしもうば御前はよめがかづらお捻らざりけむ〈○中略〉
歌がらのゆら〳〵となびやかなるさま、たがねくたれの枕の上、たがうしろてのふさやかなるそぎめにも、かゝるしなはありがたくこそみたまふれ、かづら捻といへば賤きやうなれど、かの常陸の宮の御むすめも、我おちかみおこそ薫衣香の壼にそへて、乳母の侍従にもたびけれ、いやしきあまのすさみにも、たゆまじき道のすぢは、詞の玉かづらにて侍りけり、