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嬉遊笑覧
一下/容儀
鬢さしは、安永八年はやり出て、此頃すたれ、〈(中略)完政中より曲の中に入る紙のはりこ、同はりこのたぼざし(○○○○○○○○)は、烏賊の口より出るとびからすといふ物のやうなる形なり、曲のはりこは、島田、丸曲、島田くづし等あり、それも曲の大きなるがはやりて、はりこも大に造りたりしが、やがてまた曲少くなり、次第にはりこも意巧お加へて、のぎ筋お毛筋の如く付て作る、たぼさしも色々かはり、上方のつとさしにならひ、はりがねお紙にて巻、漆にて塗たるもの今用る所なり、〉