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守貞漫稿
十一/女扮
大略暦宝頃の鬢差の図〈○図略〉
鯨髭制也、上品は水牛、角お以て製之、当時髱お高くす、故に此物の制お更め製す、
鬢張、京坂の名、鬢差、江戸の名也、此器お用ふること、宝暦以来也と或書に雲り、三都とも然る哉、追考すべし、
安永二年茶番狂言の冊子の、世話やき老母が詞に、今時の女は、鬢差の何の角のと埒が明ぬ雲々、四天王伶人桜と雲院本曰、わしや鬢裏(つとうら)と鯨ののたし、是がないと灯籠鬢出来ぬ、故に大義した雲雲、節信曰、鬢裏と雲は、たぼさし張出す鬢差也、