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嬉遊笑覧
一下/容儀
婦人首飾、昔は首飾なし、〈○中略〉賢女心化粧に、姑六十年以前の事お〈延享よりなれば、貞享頃に当る、〉定規にしで、むかしも今も同じやうに思はれ、嫁の髪みるに、鬢の中に鯨の墨遣お二三本も入らるゝは、何の為にせらるゝぞ、吾は此年まで髪の中には、小枕の外は、蒔絵の木櫛に黒き笄おさして花おやりしに、嫁のあたまおみれば、〈○中略〉此器西鶴が頃には未だあらず、〈○中略〉其磧が鯨の墨遣(やり)といひしが始なり、