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近世女風俗考
鬢の事
安永の末か、天明の始か、鬢入(○○)といふ物はやれり、其製は、厚き紙にて 如此造り、髪お上下分ち、其なからに入て結び、又は是に綿おいれて結へるとかや、〈かくいへるは、予(生川春明)慈母在世の時、聞おきたる話也、予は文化中に出生したれば、まのあたり見ざること故、違ひもあるべし、(中略)針線お丸くゆがめてとは、今専用ふる、髪入の事也、是も古製は、今のさまとは異にて、三階或は五階七階など、針線にて段お造りしとかや、〉