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都風俗化粧伝
中/化粧
白粉お製傅
生白粉(きおしろい)の製法は、鉛お酢にてむし、水に晒し、かためしもの也、軽粉〈鉛おやきかへせしものと雲〉或は白粉の木にて作るといふはあやまり也、
生白粉お製て、これお三段にわかつ、極細末の宜きお生白粉(きおしろい/○○○)といふ、其次お舞台香(ぶたいかう/○○○)といふ、〈芝居役者のつかふおしろいなり〉其次おとうの土(○○○○)といふ、安き白粉也、
調合おしろい(○○○○○○)お流し白粉(○○○○)と雲、これお丁子香、蘭の露、菊の露、袖の香なんど銘おつくれど、みなおなじ流し白粉にて、名のかはりたる計のもの也、上々の白粉の製やうは、生白粉也、上々白粉お製には、生白粉にほだ等分に合せ、しまりお少し入るゝなり、中の白粉は、生おしろいとぢんくずと等分に合せて、しまりお少し入たるもの也、白粉に香具おあわせ、香あるものにあらず、みな付たる香ひなり、香ひある白粉およしと思ふはあやまり也、