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嬉遊笑覧
一下/容儀
粉に二種あり、故に和名抄にも粉(しろきもの/○)と白粉(はふに/○○)と並べあげたり、本草和名に粉錫、和名巴布爾とあり、粉錫は今京おしろい(○○○○○)と呼て、婦人の顔に塗るものなり、しからば粉は水銀粉にて、今はらや(○○○)とも、伊勢おしろい(○○○○○○)とも呼ぶもの是なり、もしは物異なれども、はらやといふ名は、巴布爾(はふに)お訛り呼べるにや知べからず、孔志約が唐新本草の序お作りて、鉛錫無弁とは、陶弘景が非お斥したる辞なり、弘景だにさる事あり、ましてこゝには、誤称もあるべきなり、