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橘庵漫筆
二編二
紅藍液お燕脂と雲は久しき名なり、殷の妲己、燕の紅花、天下に冠たるお聞て、用ひて脂となす、これによつて燕脂といふ、清土の昔も、紅花は北方の物よろしきにや、本朝羽州最上、山形米沢などの産猶よし、唯紅花は北国宜しき歟、