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都風俗化粧伝
下/身嗜
花の露の伝
此香薬水は、化粧して後、はけにて少しばかり面へぬれば、光沢お出し、香ひおよくし、きめお細かにし、顔の腫物おいやす、
花の露とりやう いばらのはな
此花おつみとり、らん引にかくる、かくのごとき器也、〈○図略〉中に湯お入てわかし、其上へかの花おいれ、其湯気、上の器にたまり、口より露出るお茶碗にうけて取る也、扠此露お除け、
丁子 片脳 白檀
おらん引にかけ、此香具の香ひおとり、いばらの花の露に少し入て用ゆる也、
らん引お用ひずして花の露おとるには
薬鑵に水お入、上の蓋おあおのけにして、其真中の高き所へ花おのせ、大きなる茶わんお其上へふせおき、炭火にかけ、薬鑵の水、湯となりて花お蒸がゆへ、花の露、上の茶碗にたまり、又したゝり落て薬鑵の縁へ流れ落るお取也、ふたの茶碗の上へ別の茶碗に水お入のせおくべし、〈○図略〉