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諢話浮世風呂
三編上
●はい隻今は二丁目の式亭で売ます、〈○延寿丹〉 ▲えヽ何か子、このごろはやる江戸の水とやら、白粉のよくのる薬お出す内でございませう、 ●はいさやうでございます、私どもの娘なども、江戸の水がよいと申て、化粧の度につけますのさ、なる程子、顔のでき物などもなほりまして、白粉のうつりが奇麗でようございます、 ▲私どものりんが田舎育だけに、根から白粉がのりませんが、成ほどよくのります、嫁などもつけますが子、翌の朝、顔お洗た跡で、ちよいと紙で拭ますと、薄化粧でもいたしたやうに、きのふの白粉が出るさうでございます、種々な調法な事が出来ますよ子え、