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今昔物語
三十一
大和国箸墓本縁語第卅四
今昔天皇と申ける帝一人の娘御けり、〈○中略〉此娘未だ娶給ふ事も無き間に、誰とも不知ぬ人の極く気高き、娘の御許に忍て来て雲く、〈○中略〉我れは此の近き辺に侍る也、我が体お見むと思さば、明日其の持給へる櫛の箱の中に有る油壺の中お見給へ、〈○中略〉其の後、女櫛の箱開て油壺の中お見給ふに、壺の内に動く者あり、〈○下略〉